民族とは何か

民族とは何か (講談社現代新書)
(46) 民族とは何か(★★★★)

出版社/著者からの内容紹介
知られざる「民族」の根本!
なぜ「民族」が地球上に成立し、しかも現代世界を読み解く上で欠かせない要素なのか。聖書の世界からヨーロッパの成立、現在の紛争までを明確に見通す。

マイミクから紹介されてこの本を読んでみた。キリスト教の知識がないとちょっと難解かも。以下の内容が、印象に残った。

 人々はその個体差によって互いに異質な存在でありながら、人類の成員としては似かよった存在でもある。人々が完全に異質でも同質でもないことが模倣を可能にする。そして動物に見られるような本能によりプログラム化された模倣とは異なり、人間は特定の模範の模倣という形でその行動を未来に向けて計画し組織する。模倣は人間社会における最も根本的な現象であり、なかんずく社会の秩序はさまざまな模倣によって形成される秩序は、あくまで暫定的で流動的な物でしかあり得ない。というのも、その根底には、人間には集団形成の本能など存在せず、どんな秩序もそれを成立させている模範が説得力を失えばガラス細工のように壊れてしまうという厳然たる事実があるからである。