人生を考えるヒント ニーチェの言葉から

人生を考えるヒント―ニーチェの言葉から (新潮選書)
(36) 人生を考えるヒント(★★★★▲)
前エントリのとおり、ポスト・モダニズム思想に影響を与えたと言われている一番古い人物であるニーチェについての入門書を探したら、この本が見つかった。ニーチェの本から部分抜粋して、それに対して解説を述べているため、分かりやすいのが選んだ理由だ。決して人生を考えることが目的ではなかったのだが、ニーチェの激しいニヒリズムにすっかり虜になってしまった。例えば、以下の通り。

「自然に従って」生きることを君たちは欲するというのか。
それは何という言葉の欺瞞であろう!
生きること、それは、自然とは別の仕方で存在しようとすることではなかろうか。『善悪の彼岸

忍耐する者のための処方箋--君には人生の重荷が重すぎると言うのか。
それなら、君はその重荷をもっと増やさなければならない。『人間的な、あまり人間的な』

これらの引用の中で著者は、以下のようにコメントしている。

ニーチェは、けっしてニヒリストではなく、その反対で、人間の生の価値を最大限に肯定する哲学者であることが分かった。

その通りだと思う。鋭い感性で人生について考え考え抜いた哲学者で、最後には恐らく精神がボロボロになったのであろう、精神病になり、短い一生を閉ざしてしまった。大変印象に残る言葉がちりばめてあり、一読をお勧めしたい。